【研究会の趣旨】

ある学問領域は、発見的研究として始まるが、その進展と共に学問基盤を確立する研究となって隆盛し、その後は成果を社会に応用する研究が主となる。最近の海洋科学分野の研究でも、海洋科学が重要であることはよく認識されているものの、この第二から第三の段階に移る中で、「より詳細に、より厳密に、より社会還元を」という従来の概念・手法を拡張する路線が強調されすぎているように見えます。この結果、現在進められている種々の研究が今後直面するであろう限界を打ち破る可能性を秘めた新たな研究(ブレークスルー研究)の推進が阻害されていることが危惧されます。

 

ブレークスルー研究は先見性のある個人が進めるとしても、それを支える広い基盤、さらに実証・実用へ展開する研究もまた必須です。例えば、以前は学問的に見えていなかったものが、新たな観測・分析の開発、およびシミュレーション・理論の進歩によって画期的に展開する可能性を持つことになるでしょう。また、他分野からの参入、そして他分野との融合がさらなる展開を促すことも考えられます。従って、ブレークスルー研究の推進には、

 
(1) ブレークスルー研究の創出のための意見交換・情報交換・企画草案づくり
(2) ブレークスルー研究を支えるための基盤整備(人材育成、学会の雰囲気づくり・支援体制)

の両者は必須です。
 
しかし、現状では、上記2点は十分なレベルには達していないと言わざるを得ません。我々はこの現状を打開する方策として、2010年海洋学会春季大会からさまざまな試行錯誤のもと多くのシンポジウムを開催してきました。その議論を踏まえ、ここに、日本海洋学会にブレークスルー研究の推進とその基盤形成のための手段を検討・実施することを目的とする研究会を発足させます。なお、当該研究会は、日本海洋学会将来構想委員会や各研究会ならびに関連学会とも連携して、日本海洋学会の現状を鑑み、将来を見据えながら、議論と情報交換を進めます。